インタラクションデザイン の事例 – CIID Final Project 2014

posted in: CIID, Design, 留学記 | 0
はてなブックマーク

 前回の更新から随分と空いてしまいました。実は先週にCIIDのインタラクションデザインプログラム(IDP)のファイナルプロジェクトの発表会、並びにExhibitionがあり、その関係で私も彼らのプロジェクトの一部を手伝ったりと慌ただしい日々を過ごしておりました。今回の記事では最終成果報告会の様子を報告します。


インタラクションデザイン プログラムの最終成果報告会の様子

CIIDのIDPコースは毎年1月からはじまり、多くの内容をチームプロジェクトとして学んでいきます。最後の約2ヶ月の期間は彼らは自分の興味対象に対して実際にこれまで学習してきたPeople Centered Researchを実践します。

 インタラクションデザイン分野におけるアウトプットは私にとってはイメージしにくい部分でした。彼らの卒業発表(ファイナル・プロジェクト)の様子を紹介します。

サポート体制が充実している

 CIIDのファイナルプロジェクトは一人1テーマですが、外部からメンターを招きサポートをしていました。一流のデザイナのアドバイスを仰ぎつつ、自分で判断しながら進めていきます。また必要に応じて周囲と協力をしながら形にしていきます。

 一年間同じ場所で過ごしているので各々の強みはわかっており、学生さん同士、あるいはリサーチやコンサル部門の人にも時には技術やコンセプトの相談をしております。この様にCIID側はメンタリングや人的ネットワーキング、場所の提供という形でサポートしています。

 CIIDのファイナル・プロジェクトは内部向けのプレゼンテーションとよりオープンなExihibitionの2つのパートで行われます。

 プレゼンテーションではインタラクションデザインの分野の著名な方をコメンテータとして招き、各学生さんが20分の発表を行った後、20分程度のディスカッションのパートがありました。これらの発表を通じてどの様なプロセスで進めてきたか、どの様な問題を解決したいか等の背景も詳しく説明されます。

問題提議からプロトタイピングまでを短期に行う

 はじめにPeople Centered Research の全体イメージを共有します(下図)。

Pcd

 この図の様にファイナルプロジェクトに望む学生さんはDesignの部分(誰のどんな問題を解決するか?)を起点にはじめている学生さんがほとんどでした。

 良くPeople Centered Research や デザイン思考として紹介されるプロセスは下の項目をIterativeに回りながら進むと言われています。

  • Emphasize (ユーザーに共感し、彼らの考え方、環境を理解する)
  • Define (解決するべき問題は何か-Who, Whatについて考える)
  • Ideation (どの様な方法で解決するか、具体的なアイディアを検討する)
  • Prototype (アイディアの価値を体験できる最低限の機能を有したプロトタイプを作成する。)
  • Test (アイディアを実際に使用する人、環境にプロトタイプを持って行き仮説検証を行う)

 2ヶ月というかなり厳しい時間的制約の中で、実際に学生さんの通ったパスはとてもユニークでした。(例えばかなり早い段階からアイディアを具体化してTestする人もいれば、Defineにかなりの時間をかけて納得いくまでインタビューを行った人もいました。)しかし多くの学生さんが上の項目のいずれかをプロセスの中で踏んでいたことは1つの特徴かと思っています。

 この様に問題発見からプロトタイプによる検証をラピッドに回しながら進めていったように思います。

失敗から学ぶ

スクリーンショット 2014 12 16 12 29 41

 学生さんのプレゼンテーションの中にはファイナルプロジェクトで何を失敗したかにフォーカスを当てて発表している方もいました。

 具体的には「自分が本当に解決しなくてはいけないと思える問題発見に至る前に時間的なプレッシャーから課題を決定してしまった。」「よりクオリティの高いプロトタイプの作成自体に注力してしまい、Testからのフィードバックを得る時間を取れなかった」等がありました。

 この様な話は私にとっても耳の痛い部分でした。実際に仕事を行う中では時間や共に働くメンバーとの調整等色々な制約がかかる場合が多いです。同時に実行者にはプロジェクトの成功を求めます。そのため実行者はプロジェクトを始める期初の段階でいかに問題定義できているか、この方向性が確かなものかという事をマネジメントに説明しなくてはならないという力が働きます(もちろんこれも重要なことですが)。

 しかしBreakthrough Innovationでは、すべての事象を最初から説明しきれることはまず起こりえないと状況ではないでしょうか。そのため、いかに早く問題を発見をするか、またはそこにいたるまでが重要かを説明する事が求められる様に感じます。

 この問題発見のための活動に対する許容度は、取り組んでいるテーマや状況に依存するため、1つの決まった厳密なルールでプロセスを管理すると、上手く回らない可能性が高いとこちらに来てから感じています。

インタラクションデザイン コースの展示会の様子

 CIIDはのアウトプットは分野も注力ポイントもとても多様でした。大企業からきている自分としては学生さん一人が2ヶ月という期間の中で、問題提起からプロトタイピングを通じたフィードバックまでをカバーしたクオリティのものができる事に驚きました。

事例紹介

事例 1. Seed BankのFuture Design

インタラクションデザイン 事例1 Future Design

 この学生さんは植物多様性を保つために重要な役割を果たす「Seed Bank(植物の種を管理、保護する施設)」のデザインを行っていました。いわゆるFuture Design と呼ばれる分野になるかと思いますが、どの様な観点でデザインしていくかについて様々なヒアリングや学生さんの知見を合わせてイラストやモックを用いてストーリー化していました。

事例 2. Tangible な3Dモデリング手法

インタラクションデザイン 事例 2 .png

 最近普及してきた3Dプリンタですが、3Dモデリングソフトの習得等には未だにハードルがあります。この学生さんは切り取った紙とジェスチャーを組み合わせることで3Dモデリングが可能になるソリューションを提案していました。カメラで認識した映像をUnityで映像化し、ジェスチャー入力にはLeap Motionを用いていました。実際に子供に使ってもらう様子もビデオ等におさめて今後の課題を洗い出したところまで実施しています。

事例 3. より多くの人に音楽体験を

インタラクションデザイン 事例 3 .png

 元々音楽が好きなある学生さんは、その体験をより多くの人に提供したいという思いから、実際に音楽経験がない人にユーザーリサーチを行い、彼らがより楽しく上達できる機器を作成していました。来年以降にCIIDのIncubation部門のNESTに参加し、ビジネス化に挑戦したいとのことでした。 

事例 4. 情報のバランスはとれていますか?


Roly POVY from Chia Yu Hsu on Vimeo.

 メディアに注目した学生さんもいました。彼女の場合は日々の情報の入手の仕方についてリサーチを行った後、人々が受け取る情報が非常に偏っている事に注目しました。実際にはこれらの情報を分析し、その状態を可視化しユーザーに知らせてくれるハードウェアを提案しています。

全体を通じての感想

 IDPコースの学生さん達は、一年の中でPeople Centered Research手法やPrototyping Skillだけではなく、周囲の人を巻き込みながら進めていく実行力やメンタルセットを身につけたと感じました。

 この能力はきっと彼らにとってあらゆる場面で使えるスキルとして残っていくのではないでしょうか。

 一方でサイエンス、テクノロジーという点では掘り下げることが難しいという印象でした。テクノロジーに光る部分があった発表は、どちらかというと彼らがデザインスクール以前に身につけてきたものがベースになっているケースか、ビデオプロトタイピング等で表現するというケースが多かったです。(もちろん時間的制約も大きいと思いますが)

 実際に社内で彼らの光るアイディアが脚光を浴びるにはデザインのその先の部分をいかに語れるか、実行にうつせるかがポイントになりそうです。プロジェクトの起点となるDesignの訓練はとても重要なので組織として上手く彼らの様な人材を取り込めると強いのだろうなと思いました。

デザインスクール系のコースへの進路を検討している方の参考になれば幸いです。

記事の更新をFacebookでチェック!


はてなブックマーク

Leave a Reply