デザイナーのキャリア のこれから-第一線のデザイナから学んだ事

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デザイナーのキャリア のこれから-第一線のデザイナから学んだ事

先日CIIDのオープンレクチャーで“Design and Entrepreneurship”という講演を聞いてきました。

講演者はRyan Donahue氏、自身がBook Freshというスケジューリングのプラットフォームを起業したり(現在はSquareに買収)、PaypalのFundingメンバーとして活動されていた方です。ベンチャーキャピタルにも勤めたことのある彼がInteraction Designを学ぶ学生達に向けてデザイナーのキャリアについて起業を含めた可能性について語っていた内容を共有します。


デザイナーの起業家は意外に多い!?

皆さんはデザイナーと起業というキーワードは結びつきますでしょうか。私はこれまでデザインの分野とは無縁だったのでついWEBデザイナー、企業のデザイナー、フリーランスというキャリアが最初に思いつきました。しかし、実はデザイナーから起業している人も多く、海外ではデザイナーから起業した人から画期的なサービスが世に出ています。


1. Pinterest (Evan Sharp氏)

 1つ目はPinterest、web上でみつけた自分のお気に入りをボードに貼り付ける様に整理し、それを共有することができます。”レシピ”, “旅行の計画”, “ニュース記事のスクラップ”と使い方は自在です。私もChromeのExtensionを入れて、お気に入りの記事等をまとめています。

Pinterestに興味のある方はこちらの動画をご覧ください。



2. Nest (Tony Fadell氏)

 こちらもご存知の方は多いのではないでしょうか、サーモスタットという概念をスマートなエネルギー管理システムへと変えたNESTという商品です。ファウンダーは元AppleのデザイナーであったTony Fadell氏です。





Youtube (Chad Hurley氏)

まさに世界中の人達がつかっているYoutubeその創業者の一人であり元CEOのChas Hurley氏もファインアートの学士からPaypalのUIデザイナーというキャリアからスタートしています。

Youtubeができた経緯については下の記事がとても良くまとめられていてお勧めです。

YouTubeが出来たきっかけって案外、シンプルだった!YouTubeのまとめ – NAVER まとめ
Youtubeができた経緯について/Navarまとめ


Air bnb (Brian Chesky氏)

自分の家を貸出、世界中どこでも人の家を借りられるAir bnb。私はこのサービスをこの前まで知らなかったのですが、CEO兼Co-FounderのBrian Chesky氏も元々デザイン出身のようです。

現地の人から借りる家・アパート・部屋・バケーションレンタル・民宿予約サイト – Airbnb
190カ国の地元の家で暮らすように旅をしよう! Air bnb

このようにデザイナーと呼ばれる人たちが世界を驚かせる様なサービスを多く世の中に出しています。これは事例を紹介しただけで因果関係を話しているわけではありません。Ryan Donahue氏はよい”デザイン”の大きなインパクトについて伝えてくれたのだとおもいます。


デザイナーのキャリア についてのメッセージ

彼が講演の中で伝えてくれた中で印象に残った言葉をいくつか紹介します。

デザイナーとしてDschoolや企業内などで経験を積んでいくとあなたはきっとユニークな存在になれるでしょう。それはデザイン思考や共感といったスキルが磨かれることで世の中にある”おかしな事象(歪み)”に気づくことができるようになるからです。

 デザイナーは人より長く、深くデザインに向き合ってきた人たちなので、世の中で当たり前として受け入れられている歪みにいち早く気づくのかもしれません。この能力は従来の改善の延長線上ではなく、ユーザーに共感するマインドセットが必要になるのでその様な人材は貴重だなと私も思いました。

アイディアは卵のままでは何も生まれない、きちんと成長させないといけない。アイディアの成長のためには他人からフィードバックが必要である。一人で10年後に成長させたとしてもその時には自分しか喜ばない。

 アイディアを持っているときは周りに共有し、それを育てていくことの大切さを説いていました。また、アイディアを成長させるためにはアイディアがきちんと相手に伝わるようにすることが重要と述べていました。この辺りのマインドセットはまさに前回のポストで書いたCIIDのカルチャーと共通する部分があると感じました。

CIIDのカルチャーとは?
CIIDのカルチャーとは?オープンマインドを感じたファーストインプレッション

もし起業するなら大きなインパクトのあるフィールドを狙うべきだ。そして会社として動き出したらデザイナーであるあなたは特にセールス、マーケティング、広告に注力するべきだ。

人々が本当に気にしている問題にこそ、大きな価値がある。狙うなら困難であってもそういう領域に力を注ぐべきという話をしていました。また、1つ驚いたのは元デザイナーのDnahue氏自身からデザイナーが積極的に商品の価値を伝える役割に集中するべきと主張されていたことでした。デザインアントレプレナーはエバンジェリストとして活躍する事が求められるポジションかもしれません。

あなたは必ずしも会社を始めたり、起業家になる必要はありません。世の中にとって本当に大きな価値を与えられるデザインに関わることがあなたの能力をさらに伸ばす手助けをしてくれるでしょう。そのための一つの選択肢が起業なのです。

 ”Boys be ambitious!”ではないですが、氏は講演を通じて一貫して「人にとって大きな価値を与えるデザインに関わりながらキャリアを築いていくべきだ」という事を述べていたように思います。各々のテクニカルスキルももちろんですがマインドセットの重要性を説かれていました。


オフサイトでのメッセージ

その後のQ&Aセッションやネットワーキングタイム、夕食もご一緒させていただいたので、その時に聞いた内容の覚え書きをしたいと思います。


オープンレクチャーの裏話

 実は彼は元々CIIDにコネクションがあったわけではなかったそうです。今回別の仕事でCopenhagenにくる予定があり、その際に前々から気になっていたCIIDにコンタクトを取り「俺に話をさせろ!(意訳)」と交渉し晴れて今回の機会になったそうです。

「せっかく世界を飛び回るんだ、面白そうなところがあれば顔をだしたいだろ?」といった具合でした。このフットワークの軽さを見習いたいとおもいます。

 また話しているとリクルーティングも目的の一つのようでした。CIIDはデザイン思考やプロトタイピング等、この分野で必要とされている教育を行っているため、優秀なデザイナーを探している氏にとってはリクルーティングも兼ねていると笑いながらいっていました。CIIDの同僚に聞いてみると卒業生やIDEOやFROG Designといったデザインファームにいく学生も多いとのことでした。


パートナーは技術系を勧める。だが親友はやめておけ

 デザイナーの学生から起業する際のパートナー選びについて質問がでていました。氏はパートナーは技術をわかっている人を勧めるといっていました。また意見をぶつけあい人間関係がもつれることがあるので親友(Best Friends)はやめておけといっていました。

 その理由については次の様に話していました。

  • よく投資家は「これがいいならなぜ今世の中にないんだ?」という質問をしてくる。

  • それに対しては「私達の様にきちんとストーリーを語れる人がいないからだ」と返す。

  • そうすると投資家はある程度は納得するが「後から他の人が真似してきたらどうするんだ?」と聞いてくる。

  • すると氏は「私はデザイナーです、他の人達よりもCoolにやりますよ」と返す。

  • でも技術系の頼れるパートナーがいればもっと違う返答ができるかもしれないよね。

 この部分はデザイナーだけでなく、エンジニアである私にとっても色々と考えさせられました。もしこの様な領域でエンジニアが必要とされているなら、エンジニア側はマインドセット的な部分をデザイナーと共創できる様に伸ばしていく必要があるのではないでしょうか。実はこの部分がスキル的な部分と同様にとても重要な領域であるように感じました。


デザイナーやエンジニアが今後のキャリアについて考えるべき事

 デザイナーの物の見方、考え方は今後ますます重要になってくるかと思います。そのときに彼らはどの様に自分のキャリアを築いていくべきなのでしょうか。今回の講演からはデザイナーに本当に必要とされている部分は共感する力、そこからストーリーを紡げる事(Prototyping含む)、そしてそれを自らがエバンジェリストとなり伝えられるという部分かと感じました。

また、氏がいうようにデザイン思考が特別なスキルでないとしたら今後よりマストなスキルとして人々に浸透していく可能性があると思いました。その時により所になるものはデザインスキル+αの部分かもしれません。それはテクノロジーであったり、ファイナンス、プレゼンテーション力・・・等多くの候補の中から選んでいくことになるのではないでしょうか。

 一方で、エンジニアにとってはこのようなデザイン領域への越境を考える場合には、彼らのマインドセットを理解していくことがまず必要と感じました。ちょうど留学が始まる時期にとても刺激的な講演を聞けたので感謝しています。

また面白い講演があれば記事を残していきたいと思います。

(Eyecatch image via CIID)

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