MAKERSムーブメント?高級イヤホンを自作してみた

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高級イヤホン自作に挑戦してみた

今回の記事は初めての寄稿記事になります。

管理人友人のY.Tさんが高級イヤホンを自作していたので、その内容をかいていただきました。仕事も趣味も音にこだわりのある彼がどの様に自分でイヤホンを作ったのか、その内容を御覧ください。


最近活発な高級イヤホン市場

はじめまして管理人S.Nの知人Y.Tです。
この度ひょんなことで「執筆しないか?」と誘われたので、
折角なので、これから何度か書かせて頂こうかと思います。
宜しくお願いします。

ところで皆さん、普段音楽は聴きますか?

最近1万円以上のいわゆる「高級イヤホン・ヘッドホン」といわれる市場が非常に活発です。
ハイレゾ音源とか注目されているように、音質に対するニーズが高まっている証拠ですね。

高級イヤホン市場が成長 スマホ普及と音源データ品質向上で – ガジェット通信

スマートフォンの普及と音源データの品質向上により活発化している高級イヤホンの市場について書かれた記事です。

筆者もしょっちゅう音楽聞いていて、職業柄仕事でもたまに使うので、イヤホンとかヘッドホンはそれなりにこだわっているつもりです。

こうした中、一部ではイヤホン自作のムーブメントが起きつつあります。(!)
3Dプリンターやフリーソフトウェア普及により、ものづくりの敷居が下がったことが原因でしょうか。クリス・アンダーソンのMAKERSではないですが、昔からスピーカを自作した人達がいるように、今ではイヤホンも自作も出来る時代なのですね。産業革命恐るべし。

一方、現在市場では各社の高級イヤホンはマルチドライバー構成が主流になっています。

※マルチドライバー構成:音を出す部品である、ドライバーユニットを複数基用いること。例えば低音用に1基、高音用に1基で合計2基用いる(両耳で計4基)など。何基も用いることで、超低域〜超高域の、ワイドレンジの音を実現する。

「これだ。これを作ってみたい」

ということで、筆者は突然マルチドライバーイヤホン自作に挑戦してみたので、自作の流れも含めて、ざっくりとご紹介します。



イヤホンの構成

イヤホンは基本的には以下の構成で成り立っています。つまり

イヤホン構成-1

  1. ミニジャックなどの端子
  2. ケーブル
  3. ドライバーユニット
  4. 筐体

の4つがあればイヤホンは作れます。
実際には、良い音を出すために、もっと沢山の部品を組み込むのですが、基本はこれだけです。

また、ケーブルの材質、筐体の形状など、基本的には全ての設計要素が音に影響を与えるのですが(ここがイヤホンに限らず、音響機器の音作りの難しいところでもあり、面白いところでもあります)、中でもドライバーユニットはいわゆる音作りの核となるので、各社こだわりのドライバーユニットを自社製作しているパターンが多いです。

今回筆者が作ったのは、上記構成を少し複雑にした、以下の様な構成です。

イヤホン構成-2

つまり、ドライバーユニットを複数用いるパターンですね。(図では例として3基)
この場合、ドライバー毎に低域用、高域用、…と役割分担をさせるので、前段に

5.フィルタ回路

を作らなくてはなりません。

フィルタ回路とは

フィルタ回路とは・・例えば低い周波数の音だけ、高い周波数の音だけを通す機能を持つ回路のことですね。ローパスフィルタとかハイパスフィルタとか呼ばれます。抵抗、コイル、コンデンサー等で構成されています。

このフィルタ回路をどのように設計するか、ドライバーを何基用いるかが音作りで重要になります。どのような特性にしたいかをざっくりとイメージした後、ドライバーユニットの仕様書とにらめっこしつつ、フィルタ回路の設計を具体的に詰めていきます。

最近はフィルタのシミュレーションツールがフリーで出回っているので、昔に比べて非常に設計しやすい環境となっています。

OKAWA Electric Design

例えば上記サイトでは、抵抗とコンデンサーと用いた回路で、それぞれどの値の素子を用いれば、どのようなフィルタ特性になるかを計算してくれます。このようなシミュレーションツールでざっくりと自分の求める特性になるように調整して、抵抗とコンデンサーの定数を決定します。

※もっと複雑な回路構成にしたい場合は、LT−SPICE等の回路シミュレータで計算するという手があります。が、この回路設計がこれまた非常に奥深く、非常に長くなるので今回は割愛します…

部品調達

端子やケーブル、回路の素子とかは秋葉原なりどこかにある電気屋さんで調達します。問題は

  • ドライバーユニット
  • 筐体

の2つです。

ドライバーユニット

ドライバーユニットは現状店舗に流通していることは殆どありません。ネットで購入するパターンが多いかと思います。
有名所では、電子部品販売サイトDigi-Key等で購入するといった方法があります。筆者はDigi-Keyを中心に、今回用いるドライバーユニットを集めました。

筐体

筐体は基本的には自分の耳にフィットするものであれば何でも良いです。何か小物入れを流用してもOK。

こだわりの形状にするのであれば3Dプリンター、もしくはレジン等を用いて製作することになります。今回自作をして思いましたが、ここが近年のMAKERSの流れで非常に敷居が低くなった、もっとも恩恵を受けている部分と感じました。小物を作るのは3Dプリンターの得意とするところですから。最近ではDesignSpark等、フリーのCADソフトの恩恵も大きいかと思います。

DesignSpark – ホーム » DesignSpark
フリーで利用可能なCADソフト Design Spark

作ってみた

実際に作ったイヤホンがこちらです。

自作イヤホン1
完成品!

自作イヤホン2

内部部品の様子

(チューブで隠れてしまっているのですが…ドライバー4基とフィルタ回路が繋がっています。右の銀色の塊がドライバーその1です)

色々検討した所、筆者は最終的にはドライバー4基(両耳で合計8基)の、
低域用2基、中域用1基、高域用1基とフィルタで割り振った構成で作りました。
筐体は別用途の部品を流用していて、内部の部品を支えるパーツを一部3Dプリンターで製作しています。
4基も搭載したのでちょっとでかくなってしまったのですが…耳にはギリギリ収まりました。

聴いてみた

他社製品と比較視聴してみましたが、一長一短あって、なかなか良い!(完全に色目)
聴き疲れしないような音を目指して作ったので、その点に関しては特に好印象!

作った後に気がつきましたが、持ち歩いて他人に聞かせることで、多くのレビューをすぐに集められることが地味に嬉しいですね。スピーカを自作しても、持ち歩くのはちょっとハードルが高いですが、イヤホンなら手軽に持ち出せるので。作った以上は、折角なので多くの人に聞かせてみたいものです。

更に嬉しかったことは、今回作ってみたところ、何名かの友人が今回のような自作に興味を持ってくれたことでしょうか。

個人的には、BtoC向けの音響機器って個人で楽しむという性質が非常に強いかと思うのですが、今回の様な外部とのコミュニケーションが広がる、インタラクションが起きるというのは自作の醍醐味かなと感じています。

ということで長くなりましたが、皆さんも是非興味が出たら作ってみてください。今回の記事で気になる点やご質問があれば是非ご連絡下さい。



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