MESH LittleBits だけじゃない|電子工作キット6選

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電子工作のプラットフォームが熱い

今月(2015年7月)ソニーのスマートDIYキットのMESHが販売になりました。

この見た目鮮やかな電子ブロックは、簡単なGUI上で機能のブロックをつなぎあわせていく事で、特定の入力(振動等)に対して出力(音を鳴らしたり、カメラのシャッタを切る等)を対応させる事ができます。

これらのツール/プラットフォームを活用する事で、誰でも簡単に電子工作の世界に飛び込む事ができるようになってきています。リアルな世界でのIFTTT(If this then that)といっても良いかもしれません。

※IFTTTについては下の記事で簡単に機能と使い方を解説しています。

IFTTTを活用してNewspicksをデジタルアーカイブ化する

この様に部品を組み合わせて機能を紡いでいくというコンセプトは、昔からブレッドボード、学研の電子ブロック等で実現しています。

しかし、より多くの人にそのポテンシャルを伝えたのはMIT Media LabのAyah Bdeir氏が提唱したLittle Bitsという商品だと私は思います。

Little Bitsは下のTED Talksの動画でコンセプトが語られています。五分程度の動画で、日本語字幕も表示できますので、興味の有る方はぜひ一度御覧ください。

近年、IoT(Internet of Things)の言葉が広がるにつれて、インターネットに繋がるセンサやアクチュエータを操作する電子工作の技術の需要が顕著になってきました。

そのためか、現在多くの会社が簡単にこれらの機能を実現できるElectronics DIYキットを提案しています。

私自身も研究活動でMakersアクティビティを調べる中で、これらの活動に大変興味を持ちました。

しかし、比較的新しい技術のためか、一覧でまとめられているページがありませんでした。

なければ作ればいいというDIY精神のもと今回の記事では、これらのDIYはキットを公式動画等を掲載しながら紹介していきたいと思います。

本記事では下の目次の製品を掲載しています。(随時更新予定)

目次


LittleBits |オープンソースの元祖電子ブロック

LittleBitsは先ほどのTED動画でも紹介しましたが、電子ブロックの中で最も支持されているプラットフォームの1つかと思います。下の動画の様なユニークなキットを作ることができます。

LittleBits公式ページ

LittleBitsは機能を持った電子ブロックに磁石が取り付けてあり、それらをつなげることで様々な機能を実現する事ができます。シンプルなだけに価格も比較的お求めやすく、99USDのパッケージで10個のモジュールとアクセサリがついてきます。

下に紹介する様にいくつかのパッケージが存在しており、Arduinoキットを購入するとプログラミングを行い、ある程度複雑な作業をさせることも可能です。(普通のArduinoに比べるとインターフェースの数が少ないという課題あり)

基本セット(10モジュール)

Arudinoキット(8モジュール、Arduino(プログラム可能なマイクロコントローラモジュール)を含む)

LittleBits Cloud Starter Bundle(6module,(Internet接続可能なモジュールを含む)

この他にも電子楽器作成に特化したキットや、よりモジュール数の多い格安のキット等様々なパッケージが容易されています。

ここが凄いよLittleBits

  • モジュールのバリエーションが豊富
  • オープンソースのプラットフォーム
  • 比較的安価

Arduinoを用いているため、LittleBitsに通常のセンサを取り付けたり、LittleBitsで回路のテストを行ってからArduinoプラットフォームの開発に移るといったステップを踏んだ学習が可能です。

またLittleBitsはオープンソースのプラットフォームなので、スキルのある人なら簡単に設計でき、サードパーティからも今後ユニークなシールドがでてくる可能性もありそうです。

MESH|ソニーが作ったワイヤレスブロック

MESHはソニーの新規事業開発の一貫としてはじまったプロジェクトです。機能をもったブロック同士が無線接続することで様々なシステムを作る事ができます。下の動画をご覧下さい。

MESH公式ページ

MESHは現在下のサイトから購入する事ができます。

FirstFlight

LED, プッシュボタン, 動作センサ, GPIOと4つのモジュールがあり各々6000円程度のようです。

MESHのここが面白い

  • 配線不要なワイヤレスブロック
  • GUIによる直感的なプログラミング
  • 国産なのでQ&Aやドキュメントを入手しやすい
  • ソニー製品(カメラ等)との連携

MESHは内部にバッテリーと通信モジュールを内蔵しているので配線が不要です。また簡単に動作させられる様に、GUIで直感的に機能を実現する事ができます。(現状はiOS8.0以降のみに対応なので、購入検討の方は要注意)

将来的にはモジュールの種類が増えたり、ソニー製品(カメラやモバイル等)との連携がより強化されていく事を期待したいです。

SAM |イギリス生まれのワイヤレス電子ブロック

SAMはRoyal College of Art(RCA)のグループから生まれた製品です。先ほどのMESHと同様に無線で素子同士を接続する事ができます。

公式ページ

上の公式ページから様々な組み合わせのキットを購入する事ができます。最も安いキットで3モジュール+Bluetoothドングルで129ポンドのようです。

動画を見るとものすごい数のモジュールがあるように見えますが、実際にキットを除いてみると、ボタン、ライト、サーボスライダー、傾きセンサ、DCモータ、光センサ、温度センサが主なモジュールの様です。

SAMの特徴とは?

  • 配線不要なワイヤレスブロック
  • GUIによる直感的なプログラミング
  • アクチュエータ系のブロックも存在している
  • ワイヤレスブロックにしては比較的安い

アプリもブロックの形状もとても美しいです。公式ページのCommunityには作品や簡単なチュートリアルものっているので調べてみると面白いかと思います。日本では入手やドキュメントが難しいという問題がありますが、それを差し引いても魅力的なキットかとおもいます。

Microduino |LEGOと合体できる小型Arduino

Microduinoは今年の秋の出荷に向けて現在Pre-orderを行っている電子ブロックです。LittleBitsに似ていますが、レゴブロックと簡単に組み合わせることができたり、Arduino互換のボードを小さい基板上に実装していたりと従来のMakerにとっても魅力的なプラットフォームになっています。

Mircoduino公式ページ

モジュールの価格はほぼLittleBitsと同程度になりそうです。Arduinoベースなのである程度高機能なものを組むことが可能です。

また、Scratchというソフトをサポートしているので、GUIで機能を設計する事も可能です。

Microduinoを選ぶ理由

  • 小型化に優れる構造
  • レゴに組み合わせられる
  • Arduinoベースである事
  • 比較的安価

MicroduinoはLittleBitsの様にマグネットを備えており、横に連結させることができます。それだけではなく、ユニークなピン構造は縦型にスタックができるようになっています。そのため比較的高機能なモジュールも小さい実装面積で実現しています。

カラフルなパーツ部分はレゴに組み合わられる様になっており、実際に3次元オブジェクトと組み合わせられるという特徴を持っています。そのため回路としての機能だけでなく、ハードウェアもブロックでプロトタイプできるという点が魅力的です。

Arduinoベースなのでこれまで電子ブロックを使っていなかったMaker達も直ぐに利用が可能です。教育用のツールとしてはもちろん、Makerのプロトタイピングプラットフォームとしても利用されそうです。

このMicroduinoはOpen Sourceの文化を継承しており、プラットフォーム自身も高いポテンシャルをもつ事から、今後注目度がさらに高まっていくと思います。

Touch board |手書きで作れるインターフェース

Bare Conductive はカーボンベースの導電性塗料を扱っているメーカーです。ここからは手書き形式の電子工作キットも見て行きたいと思います。

Bare Conductive 公式ページ

Touch Board Starter Kit | Connect any surface, object or space to the digital world from Bare Conductive on Vimeo.

Bare Conductiveでは、Touchboard Start Kitなる商品が販売されており、抵抗値や電気容量の変化から、触られる or 手を近づけるという動作を感知し音を発生させることができます。

Touch Boardは現在アマゾンからも購入できるようです。(28000円でTouch
 Board, 52000円でスターターキットも出品されていますが、こちらは異様に割高です。)

Touch Board

導電インクペン

導電ペイント

Bare Conductiveスターターキットの利点とは?

  • サウンドインタラクションに特化
  • ドキュメントが充実

Touchボードのキットはサウンドインタラクションに特化しており、簡単に各チャネル毎の音をコントロールできます。(通常のArduinoだとMP3シールドを購入し、組み合わせる必要がある)

Bare Conductive は子のようなWritable Electronicsではパイオニアの企業なので、WEBページにのっているプロジェクト例等が多い事も作品を作る上で参考になるかと思います。

ペイントの形状を工夫すると人感センサ等にも使えるので、IoTのアプリケーションを作ろうとしている人には魅力的なセンサになるかもしれません。

AgIC |印刷可能な銀インク

AgICは日本のベンチャー企業です。東京大学の川原圭博准教授の研究から始まり、2014年に創業しました。

AgIC:公式HP

日本の企業なので、Amazonやスイッチサイエンス等で気軽に購入すること
ができるのもありがたいです。

ペンと紙のセット

サーキットステッカー(シールタイプのLED)

AgICを選択する理由

  • 高い導電率
  • 修正可能なペン
  • プリンタで印刷可能

AgICは光沢紙という条件がありますが、いわゆる手書きのサーキット作成のプラットフォームではかなり高い導電率を誇っています。鉄、アルミの配線程とはいきませんが、多くの場面では気にせず使用することが可能です。

AgICではこれまで課題であった線の修正を可能にするEraserペンも販売しており、線の引き直しもできるようになりそうです。(動画参照)

そして注目するべきは家庭用のプリンタ(特定のモデル)に装着可能な銀カートリッジが存在している事です。プリンタ経由で簡単に同じ構成の銀配線パターンを出力する事ができます。

私が留学してからヨーロッパにAgICを逆輸入しているのですが、周りの人も気に入る事が多く、あるEUプロジェクトではAgICにより作成したパターンにLEDシールを貼り付け、Particle(Spark Core)と連携させることでIoTソリューションを安価に実現しています。

参考|Spark Core を今すぐ使用するべき4つの理由| IOT 入門

電子工作キットのおすすめは?

今回は6つの電子工作キットを紹介しました。このトピックは最近盛りあがっているので他にも沢山のアイディア(Circuit Scribe, Lego mind storm ..etc.)がありますし、今後も増えていくでしょう。

選択肢が広がると、どれを購入するべきか悩んでくるかと思います。

動画をみて一番、胸がときめいたものを買うのがよ!と言い切りたいところですがあまりに無責任なので、色々なプラットフォームを触った経験からアドバイスをしたいとおもいます。

実は今回紹介した6つの例の内前半の4つの電子ブロック系と後半の2つのWritable Electronics系はカバーしている領域が異なると考えています。

電子ブロック系の選択について

はじめに4つの電子ブロック系のプラットフォームは

1.安価で細かくカスタマイズもできるが作るのが(相対的に)難しい電子ブロック

2.高価で細かいカスタマイズは難しいが作るのが(相対的に)優しいワイヤレス電子ブロック

という形で分けられると思います。

電子工作を学び、今後色々な作品を作っていきたい人はLittleBitsやMicroduinoの様なArduino互換を持つプラットフォームを使用するのが良いかと思います。

このプラットフォームは回路やプログラミングの学びを深めてくれるため次のステップにも移行しやすいかとおもいます。

MakersコミュニティはArduinoがデファクトスタンダードになっているので、必要に応じてあとからPython, Ruby, Node等を学べば大抵の事はできるかと思います。(私も現在勉強中・・・)

アイディアをシンプルに試したい人にはMESHやSAM等のワイヤレスブロックはとても魅力的な選択になります。特に離れた場所にあるセンサの信号を利用する場合などは効果的です。

センサ信号の無線接続はArduino等でも可能ですが、通信モジュールやバッテリーが必要になるため、どうしてもセンサノードが大きくなる傾向があります。また、技術的にもやっかいです。

その点ワイヤレスの電子ブロックはこれらの部分をすでに最適化してくれているので、
従来では難しかったソリューションを簡単に実現させる事ができます。

ただしワイヤレス電子ブロックは現時点では高価なので、作りたいものが色々ある人は中々大変かもしれません。

また、既存のプラットフォームと比較すると細かい動作設定が難しかったり、使用可能なセンサの種類が限定されるといった小回りが効きにくいという側面も持っている事は理解しておいた方が良いかと思います。

導電インク系のプラットフォームの選択について

導電インク系のプロダクトはいってみれば配線に特化した製品です。そのため単体では機能が限られますが、普通のArduino Boardや電子ブロックといった配線を必要とする全ての製品で活用することができます。

そのため、導電インク系の製品は配線を紙の上に書くという機能が必要かどうかで導入を考えるべきかと思います。

紙に回路を書いて光るバースデーカードの様なものを作りたい、紙の上にタッチセンサを作りたい、それらを貼り付けてグリップセンサにしたい・・・etc. といった形で具体的に作りたいものが決まっている状況で購入するのが良いかとおもいます。

目的が決まっていない状況でいきなりペンだけ購入すると使い道が難しいと感じてしまうかもしれません。

一方である程度Arduino等が使いこなせる様になっていれば、あらゆるものをインターフェースにするポテンシャルを秘めているのでこれ以上ない面白いツールに変身するかと思います。

例えば、配線を書いた紙の上に別の紙を重ねて、上の紙に好きなUIの表示を書く。この重ねた紙を冷蔵庫に貼り付けて、ポテンショメーターを備えたマグネットモジュールを乗せると簡単にTangible UIを作ったりする事が可能です。

その他にもくし形の電極パターンを二枚の紙に書いて、間にスポンジなどのフォームを挟むと大面積で柔軟なタッチセンサ(シングルチャネル)を作る事ができます。このセンサは実際に作ってみましたが、ソファの下等に仕込むとセンサの存在は全く感じさせないのに人が椅子に座ったかどうかを簡単に検知することができます。

Paper touchpad

圧力センサ用の銀配線パターン(AgIC)

こういったインターフェースやセンサを状況に合わせて数十円程度で簡単につくれてしまう事がこの技術の凄いところなのだと思います。

簡単にですが、最近熱い(と私が思っている)電子工作キットの一部を紹介しました。

この分野は盛り上がっている事もあり、次々に色々なキットが発表されますが、目的に合わせたツールをきちんと選択する事が大切でしょう。

電子工作のこれからについて(おまけ)

この一年間で、色々なFablab,Hackers Space, Arduino Officeの訪問とBill Verplank氏、Massimo Banzi氏、David cuartielles氏、Simona Maschi氏といったインタラクションデザイン教育やオープンソースコミュニティの重鎮と話す機会がありました。

その過程で下の大きな変化が起きている事を感じています。

1つは次世代(現在の小学生)の子どもたちのスキルの向上。もう1つはオープンソースコミュニティを中心にテクノロジーに触れている人の数の増加です。

すでにものづくり活動に興味を持ち実際にそのコミュニティに参加している子供達は当たり前の様にブレッドボードやArduinoを使いこなしながら、電子工作をしています。

また、自分でCADデータを作り3Dプリンタやレーザーカッターを使いながらオリジナルの筐体を作る事も珍しくありません。彼らは時にはHeroku等を活用してWEB Appと連携させるといったことまでやっています。

行列は知らないけどデータベースの概念は理解しているニュータイプとでも言えばいいのでしょうか・・・

コミュニティの広がりではエンジニアからデザイナーというこれまでの流れに加えて、政治、金融、環境NPO、振付師・・・etc.と本当に多用な分野の人材がテクノロジーの活用にこれまで以上の興味を持ち始めているようです。

STEM教育の重要性が認識されスキルの平均レベルが上がっていくと、人材の裾の尾が広がり、異分野との融合が進んでいくでしょう。

近い将来には、今回紹介した様なツールキットの発展と学習システムの進化により次の様な事が起きるかもしれません。

若手社員「◯◯の結果からこの商品、サービスが効果的と思います。」

上司「では再来週の報告までにプロトタイプの作成と一週間の市場投入のサービス利用状況をまとめてきてください。」

ソフトウェアの世界ではすでにある話かもしれませんが、3Dプリンタや汎用電子ブロックが普及すると、家電商品の様な触れるモノ(+WEBネットサービス)のプロトタイプもネットを介して共有できるようになる可能性があります。

そういった世界ではハードウェアの試作・検証のタームが短くなる事に加えて、一人ひとりに求められるスキル範囲もより広範囲になるでしょう。

そんな事は不可能と思うかもしれませんが、きっと30年前の人達が今の人達のPCやインターネットを駆使した働き方をみれば同じ様な衝撃を受けるのではないでしょうか。

今は電子工作、Physical Computingと呼ばれているものはエンジニアや少しオタクな人(良い意味で)のおもちゃに見えるかもしれませんが、近い将来WEBの世界と繋がることで大きなインパクトを与える可能性があると感じています。

もしそういった時代が来た時には恐らく旧世代となっているであろう自分達の世代は、少しでもモノのインターネットが動く仕組みを理解するという姿勢が必要になるでしょう。(今のご年配の方でもPCやインターネットの仕組みを非エンジニアでも理解されている方がいるように)

今回の記事で紹介させていただいた各キットは、その様な目的においても、とても有効なツールになるのではないかと期待しています。

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