「曲がる」、「伸びる」、「畳める」ディスプレイ開発の色々

posted in: Material, Technology | 2
はてなブックマーク

 ディスプレイ開発紹介(フレキシブル編)

今回はフレキシブルなディスプレイの技術を紹介したいと思います。フレキシブル(=Flexible)とは”柔軟”という意味です。つまりフレキシブルディスプレイとは柔らかいディスプレイです。いま私達の周りにあるディスプレイは硬いですが、テクノロジーの進化によりディスプレイを取り巻く環境は少しずつ変化しています。


どうして曲げられるの?

これまでのディスプレイは硬いバックライトにカラーフィルターと呼ばれる特定の色のみを通すフィルター、光の明るさを調整する液晶(と変更フィルタ)を構成することで作られています。これがいわゆる液晶ディスプレイです。

最近では有機ELと呼ばれる柔軟な発光材料や柔軟なトランジスタが開発される事で、これまでは難しかった形状や機械特性を持ったディスプレイが提案されつつあります。

Display

形状によるディスプレイの分類

フレキシブルディスプレイは下の様なタイプが知られています。

  • 曲面形状のディスプレイ(Curved Display)

曲面上に形成されている硬いディスプレイです。先日スペインに行ったときに家電量販店を立ち寄ると曲面ディスプレイ搭載の大型TVが売り場プッシュされていました。大画面を曲面にすることで没入間が増す、見た目と面白さ、裏に設置したスピーカーの音響特性を向上させるといった利点が述べられていることが多いです。

引用:LG(画面がカーブする55型有機ELテレビ)

LG、IMAXシアターのような画面がカーブする55型有機ELテレビ 2枚目の写真・画像 | RBB TODAY
LG、IMAXシアターのような画面がカーブする55型有機ELテレビ

  • 折りたためるディスプレイ(Foldable Display)

こちらは先ほど紹介した有機EL等とは技術的には直接関係ないですが、複数のディスプレイを組み合わせて折りたためる様にするという提案が過去にもなされています。ソニーのタブレット、NECのスマートフォンなどが話題になりました。

引用:ソニー、ソニータブレットPシリーズ

  • 曲げられるディスプレイ(Bendable Display)

こちらは平面上に形成するのですが筐体等が柔軟であるために曲げることのできるディスプレイです。耐久性などの問題が大きいのか、プレスリリースや論文ではみますがなかなか実用化には至っていないようです。広義には下の巻けるディスプレイもこちらに含まれます。

(引用:ソニー、曲げられるディスプレイ)

  • 巻けるディスプレイ(Rollable Display)

曲げられるディスプレイの内、特に大きな曲率まで対応可能なもののことを指します。技術的には耐久性等の難易度がさらに増すと思われます。過去にはソニーが下の技術をプレスリリースしています。

引用:ソニー、”SONY develops rollable OLED Screen”

  • 伸びるディスプレイ(Strechable Display)

UCLAの研究グループ等は伸びるディスプレイを開発しています。実用化はまだ通そうですが二枚を重ねて引き出す方式、LEDをアレイ状に配置するなどの工夫により似たような体験は作れるかもしれません。

Stretchable OLED Display Is Here; No Stretchable iPad Yet | TechHive
Strechable OLED Display is here!

LGのフレキシブルディスプレイ

今回記事を書いた理由は韓国のLG社がフレキシブルディスプレイの商品化を言及し、18インチのデモ動画を公開したためです。

こちらの動画をご覧ください。

紙の様な質感が印象的です。技術的なハードルは高そうですが数年後には市場にでてくるかもしれません。みなさんならどの様に使いたいですか?

今後のディスプレイ開発は?

私見ですが、これまでのディスプレイの開発はユーザーの視点からみると画質薄型化、(コスト)が主流であったと思います。

この様な要求は消えることはないでしょうが、私達消費者にとってのインパクトは相対的に低下しているように感じます(=決定的な購入理由にはならない)。

ディスプレイの研究開発は今後異なる方向に展開するのではないでしょうか。私は次の様な可能性があるかと感じています。

Case1.ユニークな形状や機械特性の実現

今回紹介したフレキシブルディスプレイの様な開発です。これによりディスプレイの設置される箇所が増えるでしょう。個人的にはCurved Displayは駅の広告や設置場所の制約を取り払う技術として使用場面が増えていくと考えています。これらはBtoBが中心かと思います。

一方、Flexibleについては現時点では用途が見えにくいと感じています。Wearableデバイスに活用するといった提案が多いとおもいますが、Wearableの価値自体が探索、テスト中というのが現状ではないでしょうか。

ディスプレイがキーデバイスとなり、そこにFlexibleという機能がきちんとはまる用途があるかどうかが一つの鍵になるかと思います。

Case2. センサインテグレーション

その他の可能性としてはセンサ等と組み合わせた用途が考えられます。例えば、距離をはかるセンサやカメラをインテグレーションすることでディスプレイ単体でインターフェースとして使う事もできるかもしれません。

実際にMIT Media Labのグループ(下の動画)ではカメラと液晶によるピンホールを組合わせることで物体の距離を測っています。(正確には光線情報を測定し、計算している)

BiDi Screen, 3D gesture interaction in thin screen device from Matt Hirsch on Vimeo.(MIT Medialab)

この様な技術が発展していくことでディスプレイがカメラになったり、あるいはジェスチャーを認識するセンサを兼ねたり、あるいは空気中の塵等の情報を分析するといった環境測定モニタとして利用したりといった新たな用途が生まれるのではないかと期待しています。

その他

上に挙げた用途以外にも「使い捨て」、「低消費電力化」、「超低コスト化」、「スピーカーやアクチュエータとのインテグレーション」等色々な軸が考えられるとおもいます。ディスプレイの開発者はもっといろいろなアイディアを持っているでしょう。

まとめ

最近のディスプレイ開発はコモディティ化が進み、中国のXiaomiから低価格の高解像度(4K)テレビが発表されたり、ソニーやサムスンの中大型の有機ELの開発中止が発表されたり、パナソニックがプラズマから撤退したりと厳しい状況が続いています。

メーカー各社は誰よりも早くディスプレイの新価値に触れられる場所にいるので、ぜひともディスプレイという素晴らしい技術をいろいろな場面に活用していってほしいと1ユーザーとして願っています。

49インチ4Kで6万円台のAndroidスマートテレビMi TV 2、中国Xiaomiが発表 – Engadget Japanese


プラズマディスプレイの生産終了について



記事の更新をFacebookでチェック!


はてなブックマーク

2 Responses

  1. […] 曲がる、たためる、伸びる、ディスプレイ開発のいろいろ ディスプレイ開発の色々:変形する、曲がるといったユニークな特徴を持ったディスプレイについてまとめた記事。 […]

  2. […] 「曲がる」、「伸びる」、「たためる」ディスプレイ開発の色々 […]

Leave a Reply