デザイン思考の活用について考える

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デザイン思考活用の実態とは?

本ブログのメイントピックの1つであるデザイン思考(Design Thinking)について経済産業省が経営実態調査報告書を公開されていたので、その内容についてコメントを加えながら紹介したいと思います。

デザイン思考とは?

はじめにデザイン思考の意味や背景について紹介します。

What is Interaction Design? ー① | Interaction Deisgn Circle(デザインスクール留学記)
What is Design?/デザインの意味するところはなんだろう?

上の記事述べたように、日本ではデザインに対する理解は単に”見た目”に関する事が多いのが現状かとおもいます。

経産省の報告書にも次の様に述べられています。

 英語の「design」という言葉には、いわゆるデザイン以外に “ある役割、目的、効果のために何かを計画する” といった広い意味がある。
欧米では、「デザイン」とは、社会の課題や生活者のニーズに目を向け、その解決策として商品やサービス等を開発し、
その価値をストーリーとして伝えていくことであると理解されており、デザインがユーザーの商品・サービス購入の理由付けとなっている。

経済産業省の公開報告書は下記のリンクをご参照ください。

「国際競争力強化のためのデザイン思考を活用した経営実態調査」報告書を公表しました(METI/経済産業省)
経済産業省「国際協力強化のためのデザイン思考を活用した経営実態調査」報告書を公表
この様に欧米ではデザインの占める言葉の意味は広く、デザインが商品・サービスの開発だけではなく、マーケティング、企画、広告、ブランディング等のあらゆる活動に関係するものだと捉えられているようです。

顧客の抱える課題を解決するために商品・サービスを設計し、その価値を一連のストーリーとしてまとめ・伝えていく手法は”デザイン思考:Design Thinking”と呼ばれ近年注目を集めています。

参考資料


デザイン思考の活用の状況は?

日本においてはデザイン思考は活用されていくのでしょうか。実際にAppleやGoogle等に代表とされる企業が市場で大きな成功を収めたこともあり(彼らはしばしデザイン思考の成功例として取り上げられますが、実際にそれを意図してやったかどうかは不明です。)日本でもデザイン思考を経営に取り入れる動きが現れ始めています。

今回の報告書ではオムロン、サイバーエージェント、任天堂等、日本の企業の中でクリエイティブを連想させる会社による活用事例が述べられています。

また、メーカーのエンジニアの私にとっても関連の講演会等が社内で開催されたりと知名度は急激に高まっているように感じます。その理由の1つは技術の成長と顧客ニーズの多様化・複雑化により、従来の事業アプローチに行き詰まりつつあることが一つの原因かと思います。

このデザイン思考の他にも”リーン手法”な”ビジネスモデル”等の言葉が最近よくささやかれています。(これらのキーワードについても今後扱いたいと思います。)

先日、異なる会社の友人に会いましたが、彼らの職場でも最近耳にするとのことでした。一種のブームに終わる可能性もありますが、今後もこの様な考え方の必要性は高まっていくと個人的には感じています。

デザイン思考導入の課題

それでは実際にデザイン思考、Human-centerd designといった手法を企業の活動に取り込んでいくにはどの様な課題があるのでしょうか。

従来のアプローチとデザイン思考のアプローチでは下の図の様な違いがあります。

デザイン思考
(引用:経済産業省, 国際競争力強化のためのデザイン思考を活用した経営実態調査報告書より)

 

1つの大きな違いは従来の手法が分析を主軸にした「ロジカルなアプローチ」であることに対して、デザイン思考はユーザーとの共感に主軸を置いた「仮説検証型のアプローチ」であることです。

仮説検証型のアプローチは、開始時点では明確な勝ち筋や大きなアウトプットが見えにくいため、現在の日本企業の現場・マネジメント層にとってはとてもリスクの大きいものに感じられます。そのためデザイン思考のアプローチをとろうとする場合にはこの考え方が組織に浸透する必要があり、また個々人が顧客価値を提示するためのスキルセットを有する必要があるでしょう。

一方で、私は従来のアプローチについて否定するつもりはありません。特に私が関わっている材料・デバイスの様なものは顧客価値が明確なストーリで語られるもの多く(例:バッテリーの高容量化開発等)、そのような場合にはより精度の高いベンチマークや競争優位性の確保等が重要になります。この様な場合には従来のアプローチをとる方がよいかもしれません。

また、ビジネスの競争ルールがコストになってしまったような例では新興国等に対して不利な競争を挑むことになり、従来の手法の延長戦では勝ち目が薄い場合もあると感じます。

今後どの様にデザイン思考を活用していくべきか?

残念ながら私自身はまだ明確な答えは持っておりません。これまでは従来のアプローチによる研究開発手法に近い環境にに身をおいてきました。

今回のデザインスクールへの留学でデザイン思考のアプローチを経験できるため、これらをマッシュアップすることで自分なりの考えをより整理していきたいと思っています。

会社や事業を行うフィールドにより最適解は変わってくるとはおもいますが、私の関わる家電メーカーの領域では、”従来の客観分析型のアプローチ”と”デザイン思考”を両輪としてすすめていくことが必要だと思っています。

今回の経済産業省のレポートではデザイン思考アプローチの良い側面が強調されていましたが、今後活用事例が増えていく中で様々な課題がでてくるのではないでしょうか。
例えば、デザイン思考型のアプローチが浸透していくと提案できるソリューションのレベルが再び似たようなレベルになってくるかもしれません。
あるいは優れたサービスを提供してもすぐに後追いの会社が参入し、継続性が見込まれない等の可能性考えられます。
その様な時には他社に対する競争優位性が再び重要性を増すのではないでしょうか。

今後もめまぐるしく変わっていくであろう状況を楽しみつつ、世の中によい製品・サービスが出せるように励んでいきたいと思います。

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